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ゾルゼッティッジ

フリウリ・コッリ・オリエンターリで女性オーナーが営む革新的生産者

フリウリ=ヴェネチア・ジュリア州ウーディネ県東部にある小都市チヴィダーレ・デル・フリウリ。
「フリウリ」という地域名はユリウス・カエサルが築いたこの都市の古い名前Forum Iulii(「ユリウスの広場」)に由来します。中世の面影を残す旧市街地は観光地としても人気があり、当時のランゴバルド王国が遺した遺跡はユネスコ世界遺産にも登録されています。この旧市街地にはヴェネチア共和国の統治下にあったルネサンス期に建てられたパッラーディオ建築の邸宅やヴェネチア・ゴシック様式の大聖堂や教会も多く残っていて、美しい景観を持つ街並みで知られます。

ゾルゼッティッジ家はチヴィダーレ・デル・フリウリの街から南に50kmほどの場所にあるスペッサという丘陵地に100年ほど前から土地を所有し、ワイン造りを行っていました。1986年、カヴァリエレ・ジョゼッペ・ゾルゼッティッジはこの地に古い家屋を購入し家族とともに完全移住、近代的な醸造設備を備えたワイナリーを建設し、イタリア最高の白ワインである「フリウリ・コッリ・オリエンターリ」のワイン造りを本格的に始めました。現在はカヴァリエレの娘であるアンナリーザがワイナリー経営の中心となり、栽培責任者である兄のアレッサンドロとともに革新的でダイナミックなワイン造りを行っています。また、コッリオの「ロンコ・ディ・タッシ」のオーナーでもあるファビオ・コーゼールを醸造コンサルタントとして迎え、「ガンベロ・ロッソ」等のワインガイドにて非常に高い評価を得るようになっています。

ヨーロッパ最高峰の白ワインが生まれる土地、フリウリ

ゾルゼッティッジの畑はスペッサの丘陵地帯の最高の斜面にあります。フリウリ・コッリ・オリエンターリ(コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ)DOCエリアの中心部にあたり、イタリア東北部からスロヴェニアに跨る「ジュリア・アルプス」が冷涼な北風から遮ってくれ、アドリア海からの温かい風の恩恵を受ける地形になっています。温暖な大陸性の気候ですが、東方からの適度な冷風の影響もあり、昼と夜、夏と冬の気温差が大きく、良質な果実と適度なミネラルを持つワインが生まれます。土壌はフリッシュと呼ばれる柔らかい泥灰土と砂岩の混ざる石灰質土壌で、水捌けに優れています。もともとは陸の孤島のような閉鎖的な地域でしたが、1970年代に急速にワインの近代化が進み、個性的な生産者が数多現れました。
ゾルゼッティッジはその中では後発の生産者なのかもしれませんが、非常にダイナミックかつスピーディーにワインの高品質化に成功しています。彼らが特に重要視しているのは「土着品種」の個性を引き出すことと「品質」であり、なによりこの偉大な土地を「守っていく」ことです。

最高の畑とブドウを後世に遺すために、持続可能な栽培を行う

フリウリ=ヴェネチア・ジュリア州は今やイタリアを代表する高級白ワインの産地として世界中で名を馳せています。アンナリーザはこの土地の持つ力を更に強固なものにし後世に遺していくために、生物多様性を高め環境保全に努めるプロジェクトに着手しました。まず最初に行ったのはフリウリの地ではブドウの木に取って代わっていたオリーヴの木の植樹でした。2006年には養蜂に適した果樹を植え、ハチが戻ってくるようになりました。
また、「新しい畑」の取得も積極的に行っています。チヴィダーレ・デル・フリウリ郊外のプレポットの畑を購入。ここはレフォスコやスキオペッティーノ、フランコニアといった土着品種の栽培に適しています。また、スペッサの西側にあるイップリスでは旧ヴァレンティヌッツィ家の畑も購入しました。この畑はフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州全体でも最も古いブドウ(樹齢80年を超えるマルヴァジアを含む)が植えられています。


「この仕事は自分で選んだのではなく運命だと思っているの。幼いころから両親を手伝って畑の中で過ごしてきたわ。今、私たち農家と農業を巡る環境は非常に難しくなってしまっている。これからは畑だけでなく地域全体の環境を保全していかなくてはいけないのよ。でも私はそれについては楽観的。とにかく『品質、品質、品質』。キーワードはこれに尽きるわ。」(Annalisa Zorzettig)