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パオリーニ

シチリア島最西端、マルサラの地で結成された協同組合

地中海最大の島にしてイタリア共和国最大の州、シチリア。古代ギリシア人が「エノトリア・テルス=ワインの大地」と讃えたイタリアですが、本格的なワイン造りはこのシチリアから始まったとされています(諸説あり)。地中海の要所に位置することから、古代から様々な文明・民族がこの島を通過してイタリア半島、そしてその先のヨーロッパ各国に伝わっていきました。
シチリア島の西の突端にあるトラパニ県マルサラは、ユネスコの保護区域に指定される豊かな海に面した人口 8 万人の都市です。紀元前 396 年にカルタゴ人によって建設され、その後も様々な民族によって支配を受けてきました。マルサラという名はアラブの支配するころに名付けられたとされます。トラパニからこのマルサラにかけての海岸線では伝統的な塩造りが 1000 年以上に渡って行われており、現在も豊かな太陽と北アフリカから吹く季節風「シロッコ」の恵みにより良質の天然塩が生産されています。また、マグロ漁の一大拠点でもあり、その加工品は地元の重要な産業となっています。農業も盛んで、古くからブドウやオリーヴの栽培が行われてきました。
この地域で栽培されているグリッロやカタラット、インツォリアやネロ・ダーヴォラといった土着品種は、かつてはそのほとんどが酒精強化ワイン「マルサラ酒」の原料とされるか、もしくは「バルクワイン」として北ヨーロッパへ輸出されていました。しかし、近年は高品質なワイン醸造へシフトを図り、多様なテロワールと土着品種を用いてクリーンなスタイルのワインが生まれています。そんなワイン近代化の「夜明け前」にあたる 1964 年、マルサラにて結成されたブドウ生産組合が「カンティーネ・パオリーニ」です。

シチリアの多彩な土着品種を素直な造りで最大限に表現する

設立当時は 50 軒ほどしかいなかったパオリーニの組合員は現在 1000 軒にも及び、畑の総面積は 3000 ヘクタール。ワイン造りにおいてはどうしても「大きいことは良くないこと」というイメージが付きまといます。しかしパオリーニの組合員たちの畑は一軒あたり数ヘクタールだけ。丹精込めてブドウ栽培を行うことでブドウの品質を高く維持しています。また、パオリーニのスタッフたちが組合員たちの元を幾度となく訪れ、常にコミュニケーションを図ることで一貫したブドウ栽培を実現しています。

パオリーニの組合員たちの畑は、海のすぐ近く海抜 0mの畑から 400mの丘陵地帯まで、カンティーネを囲むようにして点在。それぞれの畑に最適の品種を植え、テロワールを大事にしたワイン造りをモットーとしています。たとえばグリッロ種は、海からわずか数十メートルしか離れていない海水の影響が強く出る砂地で造られます。また、高い標高の土地に合うとされるインツォリア種は丘陵を上がった高台、石灰を多く含む斜面で栽培されています。現在パオリニーニでは、土地の将来とワイン産業の未来を考え、醸造所と組合員たちの畑の両方でビオロジック認証の取得を進めています(醸造所はビオロジック認定取得済み)。もともと温暖で風通しの良いマルサラエリアは農薬の使用がほとんど無い土地ですが、認証を取ることで各組合員たちの意識を高いレベルに引き上げ、さらなる品質向上を図っています。

「まだ全ての畑で認証が取得できているわけではないが、すでにビオロジックでのブドウ造りは進んでいる。定期的に全組合員の畑を調べ、ケミカルな成分の数値が出た畑のブドウは購入しない仕組みができあがっているんだ」(Presidente : Gaspare Baiata)